一般社団法人超常現象情報研究センター

藤安利明「空飛ぶ円盤の解剖」(宇宙機第6号P4-6)

  表記、仮名遣い等は可能な限り原文を踏襲しております。言葉遣いの間違いと思われるところも、あえて残してあります。

 空飛ぶ円盤は一九四七年以来、米本土を含め世界各地に頻々と現れ、世界的話題となっている。
 大流星、新兵器、ソ連のスパイ、火星人等……様々の憶説、デマ報道からいたずらに作った円盤迄まじえて、大騒ぎである。学者、専門家達の意見も様々で、当時アメリカでは空軍当局が、レーダー、特殊カメラを動員 して円盤調査委員会迄出来て、本式に正体究明に乗り出したようで、近い将来完全に究明される事と思う。昭和廿七年八月一日に東京に現れたものも、東京天文台の広瀬博士により、「大流星である」という断定が下された。現在迄に出た報告では、三五%が気球、飛行機、鳥類の誤認、一五%が不明、一一%がいたずら、残りが天文学的現象と光線という結果になって居り、別の資料では八〇%が天文現象と結論されている。
 私の円盤に対する考えは、何物かではあるが一つの実在する物体ではなく、いずれも何かの誤認であって、報告の多い時程、何でも空に見える円 いもので、光を放って飛 ぶというだけで、群集心理的に、それらが、こと ごとく円盤の幻影になっ ているのではないかと思っている。特に大部分が科学的教養のない人達に よる報告で、大きさが何米位だとか、速さが一二〇〇マイルだとか、空を飛ぶものを地上から見ただけで大きさや速度が分ったら大変だ。それに高度何米などと報道されているが、大きさの解らな いものの高度が目測で解るわけがない。このような不正確な報告を誇大に報道するジャーナリズムにも責任の大半はあると 思う。
 次に現在までの諸説と誤認されたものと、されやすいものと、円盤航空機を御紹介する。尚、新聞記事その他沢山の資料を集めて下さった、穂積佐藤(ア)の両氏に感謝致します。

【大家の諸説】
蜃気楼説
ドナルド・H・メンゼル博士(ハーバード大学天文台)
 博士の説によると円盤の大部分は、蜃気楼の特殊な形として説明出来るとの事で、ニューメキシコ州で実際に目撃され、又、研究室内に於て、べンゼンの上にアセントを浮かせて、夜間撮影された円盤と同様のセットを作った。これで一つの形は究明されたわけである(第一図並びに第二図参照)
 夜間地上の灯火が空気層の濃淡によって、空中に浮び上り、気流の具合で移動する事がよくあるそうである。即ち地面が冷却されると上空の暖気層の下に不規則な冷気層が出来て灯火がその境界線で屈折され数十キロも離れた地点の上空に出現 し、像は正立、倒立、或いは重なりあった二重、三重像になる。(第三図参照)
 レイナー山上空に於て、 飛行機上より見られた円盤第一号は、(第四図) の原理で山稜附近では暖気層が波うっていて、その真上を飛ぶと数個の 速に移動する光例に見えるのだそうで、太陽の反射像では近よって確認も出来ないわけで急に消えてしまっても不思議ではない。その上大都市などで特定の一地点のみから目撃されなかった例(保積善太郎、角山喜代志両氏と私の三人が昭和二十七年七月十二日に本部清澄観測所の二三c/m反・赤で目撃したV型発光体) など蜃気楼説以外では説明がつかないわけだ。

他の天体よりの偵察機説
ジェラルド・ハード(BBC放送局科学解説者)
 多数の資料に基いた結論としてこの説を出し、Is another world watching us? を発表し中に昆虫による円盤型宇宙船と云っているが、可能性は大いにあるが、科学空想小説的である。
 地球上では想像も出来ないような知能と技術が無いとは断言出来ないが、若し地球へやって来た以上何等の意思表示も、メ ッセージもださず、ただ高空を飛び廻るなどとは考えられない。その上航空関係のエキスパートの意見では、宇宙船は必ず常識的な砲弾型で、円盤型をぐる廻しながら飛行する事は理解に苦しむそうである。
 とにかく、他の世界に現在の科学水準では考え られないような物体、想像出来ぬような超人間が存在する可能性があったとしても、円盤騒ぎに加わっている根拠は現在までない。

 誤認
(1)流星
 ここに普通ならば流星にはこのような型がある とか、どの位光度の強いのがあるとか、書くわけであるが、本誌の性質上、省略して、流星を円盤と報告された例は相当の数に上っていることを書く に止める。
(2)球電
 俗に謂う、人魂で、空中電気の特殊な放電現象とされているもので夏季に多く高速で尾を引いて斜めや横に飛んだり、時には、単に赤い玉がふわりふわりと液状飛行をする。大きさは直径一メー トル、普通は小さく十セ ンチ位のようだ。火葬場や人の死んだ家からとか田舎ではよく云われてい る。勿論、馬鹿馬鹿しい限りであるが、初めて目撃すると、あまり気味のよいものでもないらしい。田舎では大流星でも人魂とよく騒ぐ位で、円盤の流行する時期には誤認されやすいと思う。
 尚、俗に燐が燃えるとも謂われているが、燐化水素に依る火の玉は理論的に考えられるだけで現在迄権威ある観測例がな いそうだ。(藤原咲平博士の大気中の光象より)
(3)観測用気球
 気球を誤認した例が相当の数に上っているよう で、一口に気球と云っても高層気象用の小さなラジオゾンデから、大は宇宙線用の直径三〇メートX〜六〇メートル余りの最大まで現在は相当使われている。小さい気球は見えないだろうが、空気層が複雑な状態にある時は空気レンズを型成して白い円形の像が出るそうである。
 宇宙線用のは、大型でアメリカなどでは、合成樹脂(プラスチックス)で出来ていて、日光を反射してキラキラ光り円形 に見えるそうである。又、成層圏に達しない内は、水素の膨張不充分のため、細長い奇妙な形をしていて、強風に吹かれたりすると何キロも横すべりしたりする。高空では、時速三〇〇キロ以上で流さ れる。――――一九四八年”米空軍の戦斗機が七〇〇〇メートルまで円盤を追跡して確認の無電を地上に打電しない内に撃墜されてしまった“とアメリカでは大騒ぎをしたそうだが、後に判明した真相は、宇宙線用のプラ スチック製大型気球が飛行場附近へ流れて来たの を、着陸せんとしていたF51戦斗機にて追いかけたので、同機が空中分解したのは偶然の事故との事だったそうである。F51は、すでに旧型(大東亜戦終末期にビルマに現われたのが初めで、朝鮮では地上攻撃用に使われている)とは云え気球を 追いかけて確認出来ぬのは理解に苦しむが、これが本当らしい。
(4)航空機で似ているもの。
 アメリカでラジオ解説者ヘンリー・ライラ―と いう男が空飛ぶ円盤は空軍の秘密兵器で二種あり、一つは無線操縦の円盤で、もう一つはジェット・ヘ リコプターの驚くべき高速のもので云々………と放送して、一大センセイションを引き起し当局はあわててこれを否定したそうだが円盤航空機は戦時中米海軍によって試作されたが実用にはならなかったようで、もっぱら円盤の引き合いに出されたり、カットになったりしているのみらしい。それより平面が別に丸いわけではないが、最近の無尾翼機、デルタ翼(三角翼)機などが、高速で、日光を反射しながら飛行しているのを、常識的な形態の飛行機しか知らない者が見たら何と云うだろうか?
 斜下の方から見れば、高速の光る円盤に誤られること疑いなしと思う。
 デルタ翼は英で三種、米で二種のような平面が三角形をしているもので、これはすべて光速度防空用戦斗機で、大戦中ドイツで作られたものすら六〇〇〇メートルまで二分三〇秒で舞い上ってしまうそうである。勿論、すべてジェット機である。靴のカカトの形をしたものなどと云われたものはこの類ではないか? 飛行機に興味がない人達の中には主翼と胴体とシッポが付いていないと飛行機だと思わぬものがいるようで生れて初めて三角のもの(無尾翼機も普通方向安定をよくするため後退角が付いていてへ形をしている)が高速で飛ぶのを見たとすれば円盤報告となってしまうだろ う。
   筆者は宇宙旅行協会々員
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