超常現象情報研究センター

書評空飛ぶ円盤は実在する<高文社>金沢元基(宇宙機第2号P12-13)
  表記、仮名遣い等は可能な限り原文を踏襲しております。言葉遣いの間違いと思われるところも、あえて残してあります。

 よく事実は小説より奇であるといわれる。そして一見ありそうもないと思われる事柄から重大な真理が見出され、それが我々の持っている人生観世界観をすつかり変えてしまう事が屡々ある。だが奇怪な現象に対しともすれば人は好奇心のとりことなり冷静な態度を失うか、或は馬鹿気たことだと無視するかの誤ちに陥入りがちである。
 今日世界中にセンセイシヨンを巻起し、論議の的となっている“円盤現象”の問題についてもこのことが云えるのであろう。そんなものは集団幻覚かデマにすぎないという人々から、それは気象現象に類したもので十分我々の知識で説明できる現象であるという人々、それは某国の秘密兵器だと云う人々に到る迄甲論乙駁まことにとりとめのない有様である。
 このような混乱状態にあればある程我々は冷静で慎重な科学的態度を持たねばならないだろう。
 だが遺憾な事に我国での研究は今やつとその緒についたばかりであり、諸外国に於けるような超越的な調査機関もなく、まとまつた研究書とて一冊もない有様である。
 この時に当り既に2冊の円盤関係書が翻訳出版され巷間に大きな話題をまいたが、その何れもが宇宙人との会見等を中心とするセンセイショナル記事をな狙ったもので、真摯な研究者にとっては大変物足りないものであつた。円盤現象に関する正確公正な資料それに対する可能なあらゆる見解、それらを冷静に客観的に提共してくれる書物が久しい間希望されていたのである。その意味でこんど高文社から出版された、A・ミシエルのこの書物は我々の期待を相当の程度にまで充たしてくれるものとして推奨に値するものといえよう。
 先ず著者は冒頭で彼がこの書に引用した文献の出所を明かにし「人々はもしも結論をする趣味があるなら、それによつて自分で結論すべきである」とのべ、彼の集めたデータであらゆる先入観を排した冷静な報告であることを主張している。
 特にミシエルは有名なマンテル事件については
20頁をさいているが、彼の得た唯一の結論は、円盤現象の中には現在の我々の知識では説明のできないものがハッキリと存在するということであり、この結論は本書に集められる他の資料についても同様である。
 だが円盤現象をすべて既知の科学的知識で説明し得ると主張する人々もいる。そしてメンゼル教授はその中の最も積極的な一人であるが、ミシエルはいろへの反証をあげ教授を鋭く批判している。そして最后に彼は、この説明し得ない現象に対して、これを説明するためには最も真実らしい仮定は何かを探求する。
 先ず第一に、円盤が存在するかしないかという問題に対しては、それが存在するという確率は正に
60%に達すると述べ、次に存在するとすれば地球上から来るか、他の所から来るか、同時に地球および他の所から来るかという三つの仮定が考えられるし、秘密兵器であるという第一の仮定はその根拠が大変薄弱であることを主張している。
 このようにして、遂に彼は二番目の仮定に到達する。しかしこれをポジテイブな仮説とするにはまだ未解決な多くの問題がある。そしてその解決は将来に残された課題である。
 以上紹介したように、この書物は隅々まで著者の綿密周到な科学的良心でもつて貫かれており、読者は何よりも真剣な態度に心打たれるであろう。これはまことに真実その愛と勇気とを我々に与えてくれる書物である。

戻る