一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

見えない円盤理論の検討(二)
  −超光速理論−  
  矢野隆七郎
    
(宇宙機第22号P4〜6)

  表記、仮名遣い等は、誤記と思われるものも含め、可能な限り原文を踏襲しております。

(一) 相対性理論と円盤の研究

 世界各国の公式研究機関の関係当局者や研究家達は、地球以外の星から確かに円盤が飛翔して来る模様であると屡々公式・非公式に言明しています。
  さて、この不思議な円盤研究の解明に当って、吾々は夫々自己の科学的良心の許す範囲内の仮定や憶測を基に、お互に意見を述べ合っているのが現状でありまして、正直なところ、誰もその現象を適確に説明することが出来ませんが、お互にその目指しているところが何等かの意味で客観性を持った知識の獲得にあることは今更喋々するまでも御座居ません。
  併し、所謂その客観性なるものゝ内容も、決して一律でもなければ同一人に於てさえ一定不動なものとは云えません。むしろ科学自体の進展に伴って屡々更新されねばならぬ運命でありましょう。吾々の客観的世界は最近数年間でさえ随分と新しくなりましたから、これ等の優れた観点から円盤現象を研究するのが科学的でもあり、又正道と考えられます。
 今、彼等の宇宙旅行を知るに最も適していると思われる相対性理論で之を研究するのに何等躊躇す可き理由はありません。之は取りもなおさず吾々の将来の夢「宇宙旅行」への予備知識として役立つ筈ですから、そこで原子ロケットや円盤の場合と同様に超光速で飛翔するという超物理的の「航時機」をも敢て相対性理論を拡張して考え様としているのであります。
 御承知の如く相対性理論に於きましては光速を以て物理的交互作用の伝搬速度の限界としておりますので航時機は相対性運動(之れは相対性理論に背理し正しいとは申せません)ともいう可き運動を行う乗物と考えられます。
 この様な航時機を仮定してすら吾々は吾々の未来や過去の世界を訪れる事が不可能であることは後に述べる通りでありましょう。余談はこれ位に致しまして超光速を得ることが可能であるかどうかを検討致しましょう。

(二)膨張宇宙と超光速

 空飛ぶ円盤が突如として、吾々の三次元の世界から消え去るという現象を解釈する唯一の科学的方法が「超光速」である様に考えられます。そしてこの唯一のサンプル、つまり実例として脳裏にヒラメクのが所謂膨張宇宙論に於ける星雲の後退速度でありましょう。今十分に遠方にある星雲の遠ざかる速度が光速に等しくなったとしたらどうでしょう?※註そうすれば如何に強力な望遠鏡を用いても見えなくなります。エジングトンの考えでは、「そのような絶対不可視な天体は無限に存在する。吾々が現に宇宙と称するものはその中の可視的な部分だけであって、それを有限と考えるのである」といっています。理論的にもド・ジイッターの球状宇宙には可視的な半球と不可視的な半球とがあります。
 見えない円盤の超光速理論がこの不可視的な半球と同様原理で説明されるのであります。
※註・・・星雲の距離が40億光年になるとその後退速度が30万粁/秒になります。それ以上遠い星雲は超光速で吾々から遠ざかっていることになります。
  然らばこの膨張宇宙論が絶対的に正しい説であろうか?吾々は今、此の問題と取り組む暇はないのでありますが、ハッブル其の他の学者は「星雲が距離に比例する速度を以て遠ざかるというのは実際ではなくて、単に見掛け上の事であろう」と云っています。
  つまり光が空間を進行する途中遊離電子に出逢ってコンプトン効果を受け、多少のエネルギーを失うために波長が伸びるのであろうという意見もありますし、又、宇宙が膨張するという代りに尺度と時間とが同じ割合で短縮するという意見もあります。その割合は一年に0.54X10-9即ち20億分の一程度であるから、実際には無意味でありますが、尺度と時間とに絶対的な基準がないかぎりこう考えても良い訳であります。
 結局膨張宇宙論は超光速の存在を実証するとまではゆかないのであります。
 相対性理論では超光速は明かに存在し得ないことになっていますが、「宇宙機」第19号に於て、柴野拓美氏が重力場で超光速を得る方法を述べておられますが、実はこの考えの奥には、古典的な速度合成の考えが含まれておりまして、之は既にアインシュタインに依って否定されていますので背理的で正しくありません。
 しからば如何にして超光速が得られるか?之を考えてみるに先き立って、先ず、超光速にも相対性理論の速度合成の公式が適用出来ると仮定して、種々の場合を検討致しましたところ、超光速は光速以下の速度を如何様に加減致しましても得られず、結局、一つの超光速を得るためには他に別の超光速が必要で、この超光速を得るためにも、更に他の超光速が必要となり座標変換(ローレンツ式)を如何に巧みにやっても超光速を作り出すことは不可能と判明致しました。
 従って円盤の運動を相対性理論で研究する以上、超光速とするわけにはゆきません。故に「見えない円盤の超光速理論」は相対性理論に背理し正しくないのであります。即ち円盤をこの実在の世界の乗物と考えれば考える程之が光速以下で飛翔するとしか考えられなくなるのであります。
 円盤人は我々より数等科学的に進歩していると思われるから、吾々には全然想像もつかない未知の原理で超光速を得ていると仮りに想定すれば、大いに超光速論よし、航時機論よしであります。此のような場合にのみ航時機の搭乗者「宇宙虚人」(「宇宙機」第21号)という空想が得られるのであります。 「宇宙虚人は自由に過去・未来の方向へ移動することが出来るのではないでしょうか」と記述致しましたが、航時運動を頭から否定する私として、矛盾するようですが、これは彼等が吾々のような空間的生物でなく虚人として、未知の超自然的原理に依っての話ですから結論が逆になっても構わないのであります。

(三)航時機に依る未来及び過去旅行
 吾々は虚人でもなく又超自然的原理も知らない以上、超光速も航時機というものも利用することは不可能ですが、茲に慣例に依り、時間旅行を考えてみますと、次のような結論が得られます。(何れこの説明は宇宙の円錐形表示法を応用して詳細に発表致す予定です)
 「如何に吾々の超光速航時機を使用致しましても、吾々は地球自体の未来(子孫の世界)にも過去(祖先の世界)へも行くことは不可能である」(※吾々のロケットの改良型として、単に光速以上で飛ぶと云うだけの乗物のこと)
 併しながら遠く離れた恒星系の未来を物理的に観測して帰って来る事は出来る。しかし之も吾々地球上の観測者の立場から見た見掛け上の未来旅行であって、全ての観測者に対してこれが未来旅行といわれるようなものではありません。即ち未来旅行も相対的であります。

結論
 超光速及び航時機は現代の段階では、とうてい吾々には合理的に考えられず、時間軸方向への運動即ち航時運動に至っては全く不可能という他はありません。ところが五次元目の空間軸を仮定してよく考えてみますと、χ、y、ω、ict軸夫々について固有の性質が考えられ、従ってそれらで組立てられた世界が甚だ複雑怪奇で、吾々の視覚が単に三次元空間を観るような構造に出来ているために、この宇宙を縦、横、奥行きを持つ唯一つの空間だと考え、この空間内の現象のみを科学的と見做し、円盤現象を非科学的扱いするのはあさはかな考えでしょう。
 そこで見えない円盤の原因を科学的に探ってみますと、次の四つの場合があげられます。
 @重力場に於ける光の歪曲説(前回説明済)
 A第五次元目のω軸方向の移動説(別名、エーテルの流れ便乗説)
 B二重空間説又は二重超空間説
 Cガモフ式の宇宙一巡説
この他には今のところ適当な方法が見付かりません。第一、今まで最も常識的で科学的な説明として、有力視されて来た「時間旅行説」と、「超光速説」が、それぞれ、時間軸の特殊性と相対性理論の光速原理との背理し、正しい説と考える訳に行かなくなってまいりました。そして奇妙な空間的移動の憶説が之に変わって考えられるということは、円盤の超自然性より当然予想されて然る可き結論(逆説?)と言えましょう。
                                           (昭・33・6・5・記)

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