一般社団法人超常現象情報研究センター

海外著作紹介E
グレイ・バーカー
あまりにも知りすぎていた男達
They kNew too Mach about fliying saucers
by Gray Barker
  
金沢元基  
(宇宙機第7号P16〜17)

  表記、仮名遣い等は、誤記と思われるものも含め、可能な限り原文を踏襲しております。

 この書物の著者グレイ・バーカー(gray Baker)はまだ30の少壮実業家で映画フィルムの購入、予約関係の仕事にたずさわっている男である。彼は数年前まではおよそ空飛ぶ円盤等というものはインチキであると考えていたのである。有名なマンテル事件についても彼はその話を円盤研究界の最初の殉教者となった勇敢な男の福音書とひやかしていたのである。ところが西部ヴァージニア州のフラットウッヅで一九五三年に起った有名な怪物事(次号紹介)を契機として彼は忽ち熱烈な円盤研究家となり自ら円盤人(The saucerian)なる研究誌を発行し有数の民間研究者の一員として登場したのである。そして一九五六年以下に紹介するようなスリラーじみた題名の処女作を発表することとなったのである。
 先ず彼はフラットウッヅ事件が起るや早速現場へののりこみ怪物に出会った少年達と種々問答をかわし事件の内容をくわしくしらべたのであるが、調査を進めれば進める程この事件の以外の真実さに驚き いま、での否定的な態度を一挙にして変え何とかして此等円盤事件の謎を究明せんものと誓うに到ったのである。さて彼が本格的な活動に入るや次々に彼の前にはスリリングな事件が展開する。先ずその手始めとして彼はカルフォルニア州のジョルダンとマーブル湾の合流する地点に円盤が着陸して中から現われた円盤人が奇妙なバケツに水をくんでいたという事件に着手する。
 ジョン・ブラックおよび、ウァン・アレンなる二人のチタニウム掘り達が此等の光景を不思議なことに、四月二十日、五月二十日六月二十日のいずれも二十日という日にくりかえし見ていたのである。この報告を受けた人々は円盤は七月二十日にも現われるものと考える。遂に七月二十日はやって来た。そして「貴方はジョン・ブラックである。貴方は砂州の近くに立っている。二百人の人々が貴方をとりかこんでいる。みんな円盤が戻ってくるのを待っているのだ。貴方は円盤がやって来るように念じている。それで自分が嘘つきではないことを世間に証明することになることだでも円盤はやって来ないジョルダンとマーブル湾の合流する所、この地上のバケツとは似ても似つかぬバケツで水を汲んでいたあの小さな人間はやって来ない。円盤がやって来ないのを見て、多くの人々は気分を害してしまう。彼等は立去り、貴方は当惑してそこに立すくむ」バーカーはこの事件をこのようにドキュメンタルな形式で書き出してゆく、そしてまたしても彼は九月十八日現地にのりこみ坑夫達の残していったキャンプへ泊りこんで二十日の日に円盤があられるのを期待していたのであるが……
 治安官(Sheriff)がやって来る。ベーカー氏は留置場へぶちこまれ、シェリフに山へ行くなと警告される。彼は円盤研究の目的をくわしく説明してどうか山へ戻してくれと懇願する。しかしシェリフは「お前は精神病院にいたことがあるか」と暴言を吐き、遂に、バーカーは精神鑑定を受けることになる。まことに円盤研究も命がけである。さてこの難にもひるまず彼は益々研究に精出すのであったがこゝで彼はいよいよこの書の核心である円盤研究者達にとってぞっとするようなそして何か不気味な事件に介入していくのである
 話は一寸一九五二年にさかのぼる。バーカーはSFにも趣味を持っいたのであるが、たまたま他界(The other World)なるSF誌を見ているうちにすぐれた円盤研究家であるアルバート・ベンダーAlbert Benderの名をその中に見出したのである。ベンダーは円盤の謎の究明のためブリッヂポートに国際空飛ぶ円盤研究部、(IFSB)を作っていた。ベーカーとベンダーとの間に文通が始まり、バーカーはIFSBの西部ヴァージニア州の代表者となる。それからこれをきっかけとしてバーカーはやはりIFSBの熱心な研究者でジャーシーシテイjersey City)に住むドミニックルケシDominick Luukesiと知り合う。そして次にオーギュストロベーツAugust Roberts)と、このようにバーカーは次々と専門の円盤研究家達と交わるようになっていった。ところが一九五三年の十月頃を境としてバーカーの良き共同研究者であった、ベンダーが突然円盤について語ることを止めたのである。奇妙な沈黙、彼は委員会を開催しIFBSを解散することを発表する。何か名状しがたいことが彼の身の上に起ったに違いない。黒い衣裳をまとった3人の男が彼のもとに現われ彼に円盤の驚くべき秘密を語り、それを決して他人に口外せぬようもしするならばお前を監禁してしまうぞとおどかしたのである。ルケシはバーカーに手紙をよこし彼が沈黙するに至った理由をベンダーのことばを引用しながらのべている
 ベンダーは3人の男の訪問について簡単にふれ更につづけて円盤の神秘を深く研究するために時や金を浪費しない方が身のためであると忠告するのである。そして一九五三年十月四日、ベンダーの家で彼とロバートやルケシの等の間に、奇妙な問答がくりかえされたのである。五六の質問がなされたがそれらのうちベンダーは十九ヶに「お答えできません(I can`t Answer that)という回答を与えている。
 その一部をあげてみると彼等は政府の人間だったのか」「円盤は空間からやってくるのか」「円盤は何等かの方法で我々に危害を加えようともくろんでいるのか」「円盤は小銃射撃で止めることが出来るか」「円盤の内部には生物がいるのか」等々であり、彼がこれに答えることが出来なかったのは恐らく彼は此等についての驚くべき回答を知っていたからであるということになるだらう。また質問者達が何とかしてベンダーから秘密をかぎとろうとして「私はある雑誌に物語を書きたいのだが書くためのよい話題を提共してくれないか」といった時、彼「こゝにどんな人もいままで用いたことのないことがらがある。空間に別の世界があり、そこに住む人達は黒いものと想像してみなさい。もし彼等が地球へやって来たらどうなると思いますか、彼等は有色人種や白人達に協力すると思いますか、御承知のようにそこには偏見があるのです。もし彼等が地球にやって来たらどんなことが起るでしょう。良い物語が出来るでしょうね。」と答えている。しかし結局極めて要領を得ないまゝこの問答は終るのである。ところがこの不気味な事件はベンダーだけに起ったものではないことが判明した。オーストラリアのジャロルド(Jarrold)もラトビア人のゴードンスモールウッド(Gordon Smallwood)も西部ヴァージニアのジェイムズ・モズリー(James Moseley)も皆訪問を受けたのであったしかも彼等はその前後に皆何か重要な円盤の秘密をにぎっていたのである。果して此等三人の黒い男達は何であったらうか。それは政府の秘密警察の要員であるのか、或は某国のスパイなのか、そして将亦地球外から或いは地球の内部からやって来た宇宙人達ではなかったのか。」
 以上簡単に紹介したように、これはラッペルトやキーホーの書物のように科学的な円盤研究書ではない。むしと或る種のミステリーのようなフィクチャスな感じを受ける肩のこらない読み物である。しかも文章も仲々くだけていて迫力があり、十分読ませるだけの魅力を備えている書物である。
 しかしこれは世界中の円盤研究者に一大警鐘を告げる書でもあろう、ある意味に於いて―
 自由な研究を妨げるもの、知ることによって害を受けるもの、それは一体何者なのか。
 この事件が一アメリカ人の幻想にすぎなかった日の来ることを我々はバーカーと共に願うのである。

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