一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第11号 相撲:引退後の双葉山と新興宗教 璽光尊事件 

 

 「財団法人日本相撲協会も、れっきとした公益法人のひとつです。
 ここ数年力士の暴行死やら暴力団との関係発覚やら、野球賭博やら、はたまた八百長疑惑だの何だの、何かと世間に話題を提供しておりますが、財団法人のひとつとして通常30%の法人税を22%に減額してもらうなどの特典をしっかり受けております。
 日本相撲協会が財団法人になったのは大正14年のこと、財団法人となるのに明確な基準などなく、お役所がよしといえば設立できた時代です。何しろ大相撲ですから、後押しする政治家には事欠かなかったことと思います。
 ちなみに日本相撲協会の目的は、「わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与すること」だそうですが、相撲が国技だというのは日本相撲協会が勝手に言ってるだけで、法律で決まってるわけではありません。嘘も100回言えば本当になるという典型例かもしれません。
 ともあれ、本メルマガ第3号でも述べたとおり、現行の「財団法人」は平成25年11月末までに新制度のもとで一般財団法人か公益財団法人のいずれかに移行することになります。日本相撲協会がどうなるか、要注目でしょう。
 さてさて、最近黒星続きの日本相撲協会関係のニュースで、唯一活気の出そうな話題となったのが、昨年の九州場所での、横綱白鵬の連勝記録でした。惜しくも2日目に稀勢の里に破れ、連勝は63でストップしましたが、この白鵬が目指していたのが、昭和の大横綱双葉山が残した69連勝という記録です。
 双葉山は大相撲第35代横綱。その強さもさることながら勝って奢らぬ品格も有名で、連勝が途絶えた日に残したという「未だ木鶏(もっけい)たりえず」という言葉は、相撲史どころか昭和史に残る名言と言えるでしょう。
 木鶏とは、本来『荘子』に出てくる逸話だそうで、強さの極みに達した闘鶏が、一見木彫りの鶏のように微動だにしないとかいうものです。当時の横綱は、中国の古典にも通じていたということです。もっとも、この木鶏の境地に達した闘鶏の実在は確認されていないようです。
 双葉山は引退後、時津風親方を襲名し弟子の育成にあたっていたのですが、じつはこの双葉山、戦後ある新興宗教に肩入れし、警官隊と大立ち回りを演じて公務執行妨害で逮捕されるという事件を起こしたことがあります。
 事件そのものは、璽光尊事件と呼ばれ、昭和史の片隅に記録されています。
 では、この璽光尊事件とはいったいどういうものでしょう。
 璽光尊とは、戦時中に生まれた新興宗教団体宗教団体璽宇の主催者、長岡良子(ながおかながこ)が神のお告げにより名乗ったホーリーネームです。
 璽光尊は昭和22年1月になって、この月の21日、東京で大津波や大地震が発生すると予言しておりました。しかし問題の21日、石川県警は、大勢の警官隊を派遣して金沢にいた璽光尊を急襲し、逮捕しました。このとき、ジャンパーにゲートル、頭に防空頭巾という勇ましい出で立ちで警官たちの前に立ちふさがったのが、璽宇の信者となっていた双葉山でした。もっとも、このときは何人もの警官に、あっさり組み敷かれてしまったようです。
 双葉山がどういう経緯で璽宇の信者になったのか、詳しいことは本人も語っていません。しかし事件後双葉山は璽光尊との関係を裁ち、日本相撲協会の発展や改革に尽力したということです。

                     主任研究員・羽仁礼記(2011年8月1日配信)
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