一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第19号 聖母マリアの顕現:エジプト編A

 エジプトにおける最初の聖母事件は、1968年、カイロ郊外のザイトーン地区で起きました。
 この年の42日夜、あるいは3日の未明のことです。ザイトーン地区にあるコプト教聖母教会の向かいにあるバスの車庫の労働者たちは、教会のドームの上に奇妙な女性の姿を見ました。
 この教会は、イスタンブールにあるハギア・ソフィア(アヤ・ソフィア)寺院をモデルに1925年に建設されたので、屋根はそれぞれに十字架を持つ、5つのドーム状になっているのです。そのドームの上に女性らしき姿が現れたのです。
 労働者たちは最初、女性が身投げしようとしているのかと思いましたが、その人影は全身が光り輝いていました。彼らは、この姿を聖母マリアと考えて、祈り始めました。
 この噂はすぐに広まり、翌日から教会周辺には、数千人もの大群集がおしかけたということです。
 こうした大勢の目撃者の前に、聖母らしき人影は何度となく姿を現しました。
 聖母の姿だけでなく、光る鳩のような形や雲、不思議な匂いが漂ったり病気の治療などの不思議な現象がほとんど毎夜のように発生したのです。こうした現象が最後に目撃されたのは3年後の19715月まで断続的に続きました。目撃者総数はおそらく数十万人にのぼると思われます。さらに、時のナセル・エジプト大統領自身もその姿を目撃したとの噂もあります。
 ザイトーン以外にも、1986年にはカイロ市内ショブラ地区のダミアナ教会、2000年には南部のアシュート、2009年にはカイロ対岸のギザでも聖母の姿が目撃されています。
 こうしたエジプトの聖母事件で特徴的なのは、聖母がいずれの場合もコプト教の教会に現れていること。そして、聖母の姿が不特定多数の民衆に確認されていることです。
 じつは、コプト教徒の間には、聖家族のエジプト退避に関して独自の伝承が伝わっています。
 ローマ・カトリック教会の立場は、イエスとその家族のエジプト退避はほんの短期間のものとされていますが、コプト教徒たちは、イエスは南部のアシュートまで各地を転々とし、アシュートで学校に通っていたと信じています。カイロ郊外のマーディ地区には、聖家族が船に乗ってエジプト南部に向かった場所とされる場所もあり、そこにも教会が建てられています。聖母マリアが現れた各地の教会も、聖家族がかつて一時滞在した場所に建てられたと信じられています。
 また、聖母マリアについては、イスラム教の聖典である『クルアーン(コーラン)』でも預言者の1人として言及されております。こうした点を考えると、エジプトで大規模な聖母事件が起きる下地は、以前からあったと言えるでしょう。  

 去る317日、コプト教皇シュノーダ3世が薨去されました。ここに謹んで弔意を表します。

                                 主任研究員羽仁礼記(2012年4月1日配信)



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