一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第22号 英国UFO事件:レンドルシャムの森事件―現地調査報告B

 後日、事件についてさまざまな噂が生まれました。
 まずは1984年、ブレンダ・バトラー、トッド・ストリート、そしてジェニー・ランドルズの3人が、『スカイ・クラッシュ』なる書物を著しました。以後事件の内容は増殖し、ついには、基地司令官ゴードン・ウィリアムズやら政府の高官やらがUFOから出てきた異星人と会見したという話に発展してます。この過程はまさに「イギリス版ロズウェル」という異名にふさわしいのですが、こうした話はどうも、ウッドブリッジに勤務していたと称するラリー・ウォーレンなる人物の証言に多く頼っているようで、そしてこうした証言は、事件から8 年以上経って出てきたものです。
 デヴィッド・クラークによれば、当時の基地司令官はドン・ムーアランドだったそうなので、そもそもこのあたりから話が食い違ってますが、歴代司令官名簿を確認しないと本当のところはわかりません。
 またウォーレンによれば、事件が起きたのは12月30日ということで、この日付も公式の記録と異なっています。じつは、近くのレーダー基地で異常な物体が捉えられていたという証言もいくつかあるようですが、実際のところは確認が難しいです。
 ともあれ、現場に話を戻すと、とりあえずキオスク前のレンタサイクル屋で、マウンテンバイクを借りて(1日9ポンド)、早速「UFOトレイル」の散策に出かけました。が、この自転車がかなり整備不良で、ギアチェンジがうまくいきません。
 サイクルショップには、レンタル用自転車買いますという表示がありましたから、近隣住民から中古品を集めて貸しているものと思われます。
 間抜けな話ですが、散策に出て初めて、方位磁石をもって来るべきだったと気づきました。ただ矢印のままサイクリングコースを回ってると、方向感覚が完全に麻痺してしまったのです。それでも、ウッドブリッジ基地東方に、別々の方向を向いた矢印が3つくらい集中している場所があり、その東に向いた先が推定着陸場所だと思われます(やはりまったく説明はなし)。
 森の中にはあちこちに折れた枝が落ちてます。伐採されたものや、自然に折れたらしいものなど様々です。それに、いろいろな傷のついた樹木もけっこうあります。
 1980年の事件の際、地元の警察はハルト中佐が見たという樹木の損傷を、伐採の目印に付けられた傷と判断したようですが他の原因でも傷はつくでしょう。
 地面にも、いろいろなくぼみがあり、動物の足跡もたくさん残っています。  森の中の土質は場所によっていろいろで、舗装道路もあれば、湿った土のような場所、砂地のような場所もあります。散策中も乗馬している人や犬の散歩をしている人をみかけましたが、ウッドブリッジから森に向かう途中の道路にはシカの絵を描いた道路標識もありましたから、シカもいるのでしょう。こうした動物の足跡は、地面の状況によっていろいろと変化します。
 ハルト中佐が見たという三角形に並んだくぼみも、地元警察は動物が残したものとしています。
 そして、彼らがUFOを見たという方向、つまり基地から東という方角は、この事件で重要な意味を持っています。
 第20号でもちらりと書いたように、森のほぼ真東には、オーフォードの町があり、そこに灯台があるのです。  この灯台はオーフォード・ネス灯台(ネスは「岬」の意味ですが、日本の御前崎のように地名の一部となっているようなので、「オーフォード岬」でなく「オーフォード・ネス」と記すことにします)と呼ばれ、地元ではそれなりの名所らしいです。日本で言えば、御前崎や犬吠埼の灯台のようなものです。
 本メルマガ第4号でも述べていますが、基地のパトロールやハルト中佐が東に向かったとすれば、この灯台の光を目にしているはずなのですが、彼らが残した証言を見る限り、彼らが報告しているのは謎の物体からの光だけです。つまり、灯台の光を確認しつつ、さらに怪しい光を見た、という内容ではないのです。となると、普通に考えれば、異常な心理状態の中で灯台の光を見間違えたという結論になるでしょう。
 実際、26日の捜索に参加した3人の1人、ジョン・バローズ一等兵は、光の方向に歩いていくと灯台の光とわかったと述べているようです。金属質の物体を見たと述べたのは、3人の中でジム・ペニストン軍曹だけだったようですが、そこは軍隊の常識で、階級が上の軍曹の証言が採用されたのでしょう。言ってみれば、この軍曹の勘違い(おそらく)証言から、すべてが生まれたということです。
 では、オーフォード・ネス灯台の光は、10キロ離れたレンドルシャムの森まで届くのでしょうか。
 灯台の光の届く距離は、光達距離と呼ばれています。この光達距離は、基準をどうするかによって変わってくるのですが、通常使用されているのは、闇夜の海上でどれくらいからの距離から見えるかというもの(名目的光達距離)です。そしてオーフォード・ネス灯台のHPによると、その光達距離は25海里(約46.3キロ)です。もちろん闇夜の海上と陸上では条件が大きく異なりますが、レンドルシャムの森からは充分確認できるようです。
 一方、ハルト中佐が畑で見たと言う夜空の光は何だったのでしょう。どうも一種の天体現象か気象現象のようにも思えますが、現時点では納得のいく回答を持ち合わせていません。じつはこちらこそ本物のUFOだったりして・・・。ただしそうだとしても、レンドルシャムの森事件は第三種接近遭遇ではなく、夜間発光体の目撃という、けっこうよくある話になってしまいます。

                                 主任研究員羽仁礼記(2012年7月1日配信)

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