一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第28号 ストーシェン湖の怪獣

 ネス湖のネッシーほどメジャーではありませんが、スウェーデンの「ストーシェン湖」にも怪獣が住むと言われています。
 まずこの「ストーシェン湖」ですが、日本では「ストゥール湖」と記されている場合もあります。そこでまずは、正しい名称を見極めることにしました。
 例によって国会図書館を訪れ、4階の地図室へ行きます。
 まず昭文社の『デラックス世界地図帳』(2006年版)でスウェーデンの地図を見ると、「ストゥール湖」とあります。これでめでたく問題解決・・・・といきたいところですが、じつは潜在科学研究所の主任研究員は、日本の学術書やアカデミズム(特に人文系)というものをあまり信用しておりません。この手のたいそうな地図帳であろうとトンデモ本であろうと、他のソースで確認できない記述は、とりあえず疑ってかかります。
 というわけで、同じ地図室にあった『グランド世界大地図』(2004年、全教出版)というもので再度確認すると、なんと同じ湖の名前が「ストゥーシェン湖」となっております。さらに講談社の『世界全地図・ライブアトラス』(1992年)では「ストールシェン湖」、そして平凡社の『世界大地図』(1995年五訂版)は「ストゥールシェン湖」。予想したとおり、見事にばらばらです。
 スウェーデン語の発音を完璧にカナ文字に引き写すことは不可能であるにしても、このようなマイナーな湖の名前になると地理学会でも統一されていないということでしょう。
 地図があてにならないとなると、最終的に自分で決めなければなりません。といって、私はスウェーデン語なぞできません(エヘン)。しかし、単に発音の確認ということであれば、発音記号という便利なものがあります。というわけで、英語版wikipedia(スウェーデン語のサイトには発音記号はありません。現地の人には必要ないからでしょう)で確認すると、どうやら「ストーシェン」が原音に近いようです。そしてこの湖の怪獣は、現地では「ストーシューユーレ」のようです。
 さらに、松浦真也著『スウェーデン語の基本単語 文法+基本単語3000』(三修社)で確認すると、最初の「ストゥー(ル)」は「大きい」を、続く「シェン」は「湖」を意味し、「ストーシェン」は「大きい湖」になります。その意味では「ストゥール(大きい)湖」という呼び名も、意味的には間違っていないようです。実際英語では「great lake」と記されることもあるようです。「ストーシューユーレ」の最後の「ユーレ」は「動物」を意味し、要は「大きな湖の動物」になります。あまりひねりのない呼び名です。
 なお、この湖の怪獣について最初に記されるのは1634年の伝説集で、実際に怪獣が目撃されるようになったのは19世紀になってからのようです。

今回の参考:松浦真也著『スウェーデン語の基本単語 文法+基本単語3000』(三修社)
        『デラックス世界地図帳』(昭文社)
        『グランド世界大地図』(全教出版)
        『世界全地図・ライブアトラス』(講談社)
        『世界大地図』(平凡社)
       http://www2.jamtland.se/index.php/en/blogs/the-editorials-blog/item/storsjoeodjuret-3?category_id=198

                                 主任研究員羽仁礼記(2012年12月23日配信)

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