一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第31号 クビナガリュウ

 前回述べたように、有名な「ネッシー」について、生息地であるネス湖の形成年代から考えて、その正体が「クビナガリュウ」ということはまずありそうにありません。とはいえ、世界には他にも「クビナガリュウ」ではないかと言われる湖底怪獣がたくさんおり、こうした怪獣の特徴として、「ネッシー」に共通するものも多いので、あらためて「ネッシー」と「クビナガリュウ」を比べてみることにしましょう。
 『ネス湖の怪獣』の著者、ティム・ディンスディールは、1933年から26年にわたる100件の目撃例から、ネッシーの特徴をいくつか挙げております。これら目撃例の信頼性そのものも、本当は厳密に検討する必要があるのですが、ちょっとそこまでは無理なので、とりあえずディンスディールが挙げるものをそのまま採用しておきます。
 ディンスディールは、長い首と小さな頭部を持ち、首は水面から5フィートから6フィート突き出されくねくねと柔軟に動く、時にたてがみが目撃される、いくつかのコブを持つ、4つのひれをもつ、大波を立てる尾を持つ、皮膚はなめらかというものが多いが肌理が粗いというものもある、時速20マイルから30マイルの高速で泳ぐなどというものを挙げております。ディンスディール自身は、これらの特徴からクビナガリュウ説を支持しているのですが、長い首と4本のヒレという形態上の類似以外には、クビナガリュウ説はあてはまらないようです。
 首については、すでに偽物と判断された「外科医の写真」の他にも、水面上に首を突き出した姿が目撃されたというのもあるようですが、どうも「クビナガリュウ」はこのように首を突き出したり、上方に高く持ち上げたりできなかったようです。
 皮膚やたてがみについては、化石として残らない部分なので何とも言えませんが、少なくとも何個もこぶを持っていたという証拠はないようです。
 そして泳ぐスピード、また尾が推進力になっているという証言については、やはり「クビナガリュウ」ではありえないようです。
 「クビナガリュウ」については、まだ不明の点が多いらしいですが、『ニュートン別冊恐竜の時代』によると、首をとぐろを巻くように回転させたり垂直に持ち上げると骨が脱臼してしまうそうです。ただ、実際にどれくらいの範囲で首を動かすことができたかは、コンピューターで計算中とのことです。そして水中を高速で泳ぐ生物は、マグロやイルカだけでなく、ペンギンやアザラシでさえ、流線型に近い形態に進化しますが、「クビナガリュウ」の体型はその理想からは遠く、海中を泳ぐのではなく漂っていた、との説もあるようです。
 さらに「ネッシー」については、時に陸上での目撃報告もありますが、最近の通説は、「クビナガリュウ」は陸に上がることができず、一生を海中で過ごした、という方向に傾いているようです。

今回の参考:ティム・ディンスディール『ネス湖の怪獣』大陸書房
        『ニュートン別冊恐竜の時代』ニュートンプレス

                                 主任研究員羽仁礼記(2013年3月19日配信)

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