一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第34号 魂の重さを量った医師(2)

  では、マクドゥーガルの実験は具体的にどのようなものだったのでしょう。彼の論文によれば概要次の通りです。
 まずマクドゥーガルは、秤の計量台に木枠を据え、その上に患者のベッドを置いて、他の4人の同僚医師と一緒に、患者が死ぬ瞬間の重量の変化を計測しました。秤は、10分の1オンスの変化が計測できるよう調節していたとのことです。
 最初の患者の実験経過は次のようなものでした。  患者は結核で死にかけており、観察が始まって死ぬまで3時間40分かかった。この間、1時間に1オンス(28.3495g)の割合で体重が減っていったので、マクドゥーガル医師らはこまめにさおのバランスを修正した。
 患者が息を引き取ってすぐ、さおの端が下がって(つまり患者側の重量が減ったということ)下のさお止めに接触し、そのまま戻らなかった。さおのバランスを回復するためには、4分の3オンス(21.262g)の重量調整が必要だった。 
 この最後の4分の3オンスの重量変化に関し、マクドゥーガル医師はさまざまな可能性を検討し、充分な説明ができないとしています。
 博士が言うには、患者が生きていた間の1時間1オンスの重量減少は、おそらく呼吸や発汗により水分が少しずつ失われたものと考えられるが、死ぬとわずか数秒の間に4分の3オンスの重量が失われたということです。これは、それまでの重量変化と比べて非常に急激で大量のものであり、呼吸や発汗では説明できないとしています。
 また、内臓の運動は重量には影響しないし、排泄物が原因としても、それは当面ベッドに残るから全体の重量には影響しないと述べています。このとき1ドラム(1.771g)か2ドラムの尿が排泄されていたが、これはゆっくりと蒸発していくもので、死の直後の重量変化の説明にはならない、とも述べています。
 他に考えられるのは、肺からの空気の流出ですが、マクドゥーガル医師が同僚の医師と一緒にベッドの上で息を吸ったり吐いたりしても、目盛りに影響はなかったということです。
 2番目の患者も結核でした。
 今回は4時間15分ベッドで生き延び、最初の4時間は、1時間あたり4分の3オンス体重が減っていったということです。マクドゥーガルは、この患者の呼吸が最初の患者より緩やかだったことが、1時間あたりの重量減少が少ないものと考えています。
 さらに最後の15分間、患者は呼吸を停止しましたが、顔の筋肉はまだひきつるように動いていました。そして顔の動きが停止したと同時に、半オンスの重量が失われました。マクドゥーガルの同僚が心臓を聴診して停止していることを確認し、再度重量を量ったところ、1.5オンス(42.524g)と50グレイン(3.24g)、計45.764g減少していることを確認しました。その後40分観察を続けましたが、それ以上の体重減少はなかったということです。
 同じやり方でマクドクーガルは、さらに4人の患者で実験を行いました。
 3人目も結核患者で、死の瞬間0.5オンスが失われ、数分後さらに1オンスが減少しました。計1.5オンスです。
 4人目は糖尿病性昏睡で死に掛けていた女性で、死の瞬間8分の3オンス(10.631g)から半オンスの重量が減少しましたが、マクドゥーガルによれば秤が充分調整されておらず、また実験に反対する者たちが干渉したということで、マクドゥーガルはこの結果は無価値としています。反対者が具体的に何をしたのか、論文では明らかではありません。
 同様に5人目は結核患者。死んだ瞬間、8分の3オンスが失われました。
 6人目はベッドに乗せるとものの5分もしないで死亡したため、マクドゥーガルは実験不備としています。
 つまり、マクドゥーガルが受け入れたのは、6人の患者中4人の実験結果のみです。
 そしてその4件の結果はというと、最初が4分の3オンス(21.262g)、2番目は1.5オンス50グレイン(45.764g)、3人目は計1.5オンス(42.524g)、最後が8分の3オンス(10.631g)、平均すると30.045gです。
 要はワイズマンが言うように、「六人について死の瞬間に減少した体重の平均値を計算し、人間の魂の重さは二十一グラムであると胸を張って発表した。」わけではないようです。
 ワイズマンの著書には、巻末の参考文献の中に「アメリカ心霊研究協会会報」の論文もしっかり載っているのですが、これをちゃんと読んだ上でこのように書いたとすれば、悪意ある情報操作と言わざるを得ません。もちろん読まないで書いたとすれば、ワイズマンのような人物にしては安易なことです。

今回の参考:リチャード・ワイズマン『超常現象の科学』文藝春秋    http://ja.scribd.com/doc/20281719/21-Grams-Hypothesis-Concerning-Soul-Substance-Together-with-Experimental-Evidence-of-The-Existence-of-Such-Substance

                                 主任研究員羽仁礼記(2013年5月30日配信)

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