一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第37号 魂の重さを量った医師D

 一方、マクドゥーガル医師らの計測に多少疑問を持たせる記述もあります。
 まずマクドゥーガルらは、死の瞬間の重量減少は呼吸が原因である可能性を考え、交替でベッドに乗って息を吐き出したが秤は動かなかったと延べております。
 空気の重量は温度にもよるのですが、大体1リットルあたり1.3g程度ということですから、大の大人が思い切り息を吐き出したら5g程度の変動が生じるはずです。しかし、マクドゥーガルは、息を吐いた際重量変化は観測していないようです。また、死の瞬間排泄された尿が蒸発するのに2,30分かかることを確かめたとしていますが、2番目の患者については死後40分観測しても重量の変化はなかったと延べております。
 なおレン・フィッシャーは『魂の重さの量り方』(新潮社)の中で、空気の対流が実験に影響した可能性を述べていますが(P28)、マクドゥーガル医師は2回目の実験で死体を40分観測し、その間重量の変化はなかったとしているので、対流の影響とは考えにくいでしょう。
 ちなみに、マクドゥーガル医師の人となりについては、『死体はみんな生きている』のメアリー・ローチが、続編ともいうべき『霊魂だけが知っている』(NHK出版)で述べております。
 それによれば、マクドゥーガル医師については、「彼が品行方正なガリ勉人間だったという多くの例証がある」ということで、「ボストン大学では、級長でクラス代表だった」ということで(P83)、「ライフ」誌に自作の詩が掲載されたり、曲も作曲したことがるそうです(P84)。他方マクドゥーガルの妻メアリーは「とてつもなく大柄な鬼嫁」ということで、ローチは尻に敷かれていたと推定していますが、マクドゥーガル本人は少なくとも変人ではなかったようです。
 ところで、マクドゥーガルの実験は人間では追試が行われていませんが、レン・フィッシャーとメアリー・ローチは、その後H.ラヴァーン・トワイニングが、マウスが死ぬ瞬間の重量変化を計測したと述べています。
 それによれば、密閉した容器内で窒息死させた場合は重量変化がありませんでしたが、蓋をしないフラスコでシアン化物でガス死させたマウスの1頭だけに、1〜2グラムの減少が見られたということです。
 2000年になって、オレゴン州でヒツジを飼育するルイス・E・ホランダー・ジュニアなる人物が、納屋の中でヒツジ11頭とヤギ1頭を用いて死の瞬間の体重変化を量るという実験を行っています。ところが、その結果はマクドゥーガルの実験以上に不思議なものでした。なんと成獣のヒツジ7頭について、死の瞬間体重の増加が記録されたというのです。重量の増加は、ヒツジが最後に息を吐き出してから10秒から200秒の間に生じ、その増加分は18グラムから780グラムでした。ただし、数秒のうちにもとに戻ったということです。
 本当に重量が増えるなら、この瞬間を狙って解体すれば食肉業者は儲けが増えるわけですが、ヒツジが最後に長い息を吐き出したとか、すぐにもとの重量に戻ったという記述を考えると、これこそ納屋の中で空気の対流が起きたと考える方が自然なように思われます。  


今回の参考:メアリー・ローチ『霊魂だけが知っている』NHK出版
         レン・フィッシャー『魂の重さの量り方』新潮社
         www.scientificexploration.org/jse/articles/pdf/15.4_hollander.pdf  

                                 主任研究員羽仁礼記(2013年7月15日配信)

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