一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第40号 ナチスとUFOA

  現在展開しているナチスUFO神話の中で、第二次世界大戦中円盤型航空機の製造に携わっていた人物としてルドルフ・シュリーファー、ジョゼッペ・ベルッツォ(ベロンツォとするものもありますが、どうも同一人物らしいです)、クラウス・ハーベルモール、リヒャルト・ミーテ、ヴィクトル・シャウベルガーなど多くの人名が登場しています。さらにこうした人物にSSやらアーネンエルベ、BMWやヴリル協会やらが絡み合って、さまざまなストーリーが展開し、実際のところかなり混乱しています。ただこれらの話はいずれも、戦後になって登場したもののようです。
 しかし、ナチスのUFO神話の中でほぼ必ず登場するのが、ナチスの南極地底底基地です。この話は1938年から翌年にかけて、ドイツが行った南極探検という史実をもとにしています。
 このとき、探検隊を乗せた「シュヴァーベンラント」号は1939年1月に南極大陸のプリンセス・マーサ・コーストに接岸し、辺りを「ノイシュヴァーベンラント」(英語読みで「ニュー・スウェイビア」と紹介されることもあります)と名付けてその領有を主張し、調査活動を行いました。  探検それ自体は、資源探査とか国威発揚といった実用的な意図もあったようですが、基本的には普通の調査行だったと思われます。ところが、後のナチスUFO神話では、この話がナチスの南極秘密基地というふうに拡大しています。神話の拡大にあたっては、その後の2つの事件がとりいれられています。
 まずは1945年夏、アルゼンチンで2隻のUボートが投降した事件です。
 最初は7月10日、ドイツが降伏して2ヶ月もたってから、オットー・ヴェルムート艦長指揮下のU530がアルゼンチンのマール・デル・プラタに現れ、投降しました。乗組員は身分証を持たず、航海日誌も紛失していたということです。2ヶ月もの間、どこで何をしていたのか、乗組員も頑として口を割ろうとしませんでした。そこでさまざまな憶測が生まれました。
 噂の一つは、彼らがヒトラーとエヴァ・ブラウンを、財宝とともに南極の秘密基地に届けたのではないかというものです。乗組員は全員アメリカに送られましたが、その後の消息や、彼らが何を語ったのかは不明です。
 さらに8月17日、同じような事件が起きました。ハインツ・シェーファー艦長率いるU977がやはりアルゼンチンで投降したのです。今回もU530のときと同じ噂が立ちましたが、今回は後になって艦長が航海について証言しています。それによると、イギリスのサザンプトン港に侵入し、手当たり次第に艦船を沈めろとの命令を受けたのですが、U977の能力では難しいと判断し、ドイツ人移民のいるアルゼンチンを目指したということです。
 しかし昨今のナチスUFO神話では、いずれの艦船もUFOの部品や設計図を南極基地に送り届け、その上でアルゼンチンで投降したということになっています。
 さらに、南極基地神話の根拠とされるのが、1946年から翌年にかけて、アメリカが南極で行ったハイジャンプ作戦です。
 ハイジャンプ作戦は、南極点単独横断飛行で有名なバード少将指揮下で、1946年8月26日に始まり、1947年に2月に終わりました。この作戦には4,700人の人員と船舶13隻、多数の航空機が参加しました。探検中航空機が墜落したり、艦船の事故が起きたりしましたが、この話が一部では謎の航空機の攻撃を受けたということになり、さらにUFOに攻撃されたという話に発展しています。このストーリーは、かの落合信彦が『20世紀最後の真実』(1980年初版)で書いているので、ナチスUFO神話の中ではそれなりに歴史のあるものですが、どうもエルンスト・ツンデルが1970年代末にはこうした主張を行っているようです。  


今回の参考:落合信彦『20世紀最後の真実』集英社
      Renato Vesco, David Hatcher Childless『 Man-Mad UFOs 1944-1994』AUP   Publishers Network
       http://www.youtube.com/watch?v=MwUpPwyyvLw

          主任研究員羽仁礼記(2013年10月15日配信)

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