一般社団法人潜在科学研究所 The Potential Science Institute

第43号 ナチスとUFOD

 というわけで、ナチスUFO神話最後の主要人物がヴィクトル・シャウベルガーです。
 シャウベルガーはオーストリア出身の発明家で、日本での知名度はイマイチですが、ヨーロッパでは、フリーエネルギー研究の先駆者として、いまだに一部で崇拝されているようです。そしてシャウベルガーがこだわったのは形。つまり、特定の形の物体を作るだけで、自然界のエネルギーを引き出せるという理論です。しかし、彼のこの理論に基づいた動力装置が実用化されたことは確認されていません。しかしシャウベルガーはこのエネルギー理論を引っさげて、1934年にヒトラーと会見したようです。このとき、ヒトラーは彼について否定的な印象を持ったようなのですが、1944年には、強制的にナチスに協力させられたとされています。
 シャウベルガーがこのとき、実際に何をしていたのかは不明なのですが、関連書では、この時期に彼独自の理論に基づいて円盤型飛行物体の製作に携わったことになっています。シャウベルガーが開発したというUFOは、ヨーヨーを寝かせたようなものと、さらにその上に円錐形の突起の付いた二種類、いわゆるベル型として、ケックスバーグ事件との関連が指摘されるものです。アリック・バーソロミューの『自然は脈動する』(日本教文社)によれば、1945年2月17日にプラハで試験飛行が行われ、3分で高度1万5,000メートルまで上昇し、時速2,200キロで飛行したとありますが、この記述は前回紹介したシュリーファー型の試験飛行についての記述とそっくりです。
 じつはシュリーファー系統の円盤型航空機もシャウベルガーの理論を応用したとか、さらにはヴリル協会が得た知識がシャウベルガーに渡り、その結果各種円盤開発につながったなどという話も出ているようです(http://www.viewzone.com/vril22.html)。
 また2006年にロシアでテレビ放映された「ドキュメンタリー」では、こうした独自の推進理論は、アーネンエルベのオーパーツ研究によって得られたとも示唆しております。 というわけでアーネンエルベですが、これは1935年、ハインリッヒ・ヒムラーらによって、アーリヤ民族の歴史を研究するために作られた学術団体です。一言で言うと、かつてアーリヤ民族が世界を支配していたことを考古学的に証明しようとした団体で、実際にはオーパーツよりも神話や民俗音楽の研究が中心ですが、岩文字なんかも研究したようです。でも超古代文明を信じていたかは不明です。
 結局、ナチスUFO神話については、フーファイターをナチスの秘密兵器ではないかと示唆したアメリカ紙を除けば、1950年以降にしか確認できません。フーファイターを秘密兵器ではないかとしたのは、1944年12月14日付「ニューヨーク・タイムズ」紙のようですが、このときは謎の球形の発行物体ということでした。そこで、明確にナチスが造った円盤型の機械装置という意味では、イタリアのベルッツォが1950年3月24,25日付「ジオナール・ディタリー」誌に述べたものが最初のようです。そしてシュリーファーが対抗するように、1950年3月30日付「デア・シュピーゲル」誌に自らのUFO開発を語っていますが、両者のイラストも構造もけっこう異なってます。そしてこれに便乗して「ジオナール・ディタリー」にサルジオーニが手紙を送ってきたということです。ちなみに、有名な連行される宇宙人の写真がエイプリル・フールの冗談記事としてドイツの雑誌に掲載されたのも同じ時期です。
 その後、いろんな人物がそれぞれの思惑でナチスUFO神話を拡大してきているようですが、一方、この神話体系の中では、実際に制作されたAS6とか、Ho229への言及が、まったくではないにしてもほとんどありません。加担している人たちは、兵器や航空機の歴史に疎いのかもしれません。

今回の参考:Renato Vesco, David Hatcher Childless『 Man-Mad UFOs 1944-1994』AUP   Publishers Network              落合信彦『20世紀最後の真実』集英社
        飛鳥昭雄、三神たける『失われた空飛ぶ円盤「ナチスUFO」の謎』学研
        アリック・バーソロミュー『自然は脈動する』日本教文社
        http://www.naziufos.com/new1k1/people/belluzzo.htm
        http://www.youtube.com/watch?v=MwUpPwyyvLw
        http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-44447768.html
        http://www22.atwiki.jp/senzaikagaku/pages/70.html


                 主任研究員羽仁礼記(2013年12月31日配信)

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