(最終改訂:2009年4月25日)


1 ヤウィ
2 ヤジード派
3 ヤムリーハー
4 ユーヴェルマン
5 幽霊
6 雪男
7 UFO
8 ユング
9 ヨアキム
10 妖精
11 ヨーガ
12 ヨセフ
13 ヨセフス

ウィ(Yowie)
 オーストラリアの先住民アボリジニの間に伝わる伝説の怪獣であるが、現代も目撃報告がある。全身が毛に覆われた2本足の生き物で、いわゆる広い意味での雪男の一種。大きなものは身長2メートルくらい、小さなものは人間くらいの大きさ。ほぼオーストラリア全域に伝承が伝わっており、部族によってWinambuu, Goologah, Junjadee, Junjuddis,Thoolagal,Doolagarl,Doolagard,Moomegaなど様々に呼称される。初期の白人入植者はYahooと呼んだこともある。パプア・ニューギニアにも同様の生物が住むと言われる。

蛇足:Yowieと綴り、日本では「ヨーウィ」と表記されているが、オーストラリア人に確認すると「ヤウィ」という発音が帰ってくる(正確に言えば日本語で表記した場合「ヤウィ」に近い音と言うべきか)。もちろん矢追さんとは関係ない。なお、ニュージーランドのCadbury社はヤウィを象ったチョコレートやぬいぐるみ、お話絵本やカセットを販売している。未だ未確認であるが、テレビ・シリーズにもなっていたようである。
(イラストはCadbury社のヤウィ・キャラクターの1つBoof)

参考:Bernard Heuvelmans著『on the Track of Unknown Animals』(KPI)
    AHRのHP:(http://www.yowiehunters.com/)

ジード派(Yazidis)
 ヤジーディと記されることもある。イラクのモスル西方シンジャル及びモスル北方のシャイハーンに密集する部族で、イランやトルコ、アルバニアにも少数居住する。人口約3万と言われ、クルド人とも言われる。アラビア語やトルコ語、クルド語、アルメニア語の混じった独自の言語を話す。ヤジードの語源についてはペルシャ語のヤズダーン、あるいはウマイヤ朝第2代カリフ、ヤジード・イブン・ムアウィアにちなむとも言われるが、彼ら自身は自らをダーシンと呼ぶ。ヤジード派の起源は、627年頃レバノンのバールベックに生まれたアディ・ビン・ムサーフィルが創始したとされ、イスラム教シーア派やイスラム神秘主義、ネストリウス派キリスト教、ゾロアスター教などの教義・儀礼と呪術信仰とが混交した独特の宗教を信奉する。教義の中心となるのは孔雀の姿の天使(マラク・ターウース)の崇拝である。しかし、このマラク・ターウースはじつは悪魔のこととされ、周辺の他の宗派からは悪魔崇拝と信じられている。ヤジード派は、マラク・ターウースは6000年前から地上を支配していると信じており、この支配は今後4000年、つまり、合計1万年続く。また青い色を嫌い、レタスやカリフラワーを食べることを禁じるなどの独自の教義を持つ。教典として「ジャルワとルーシュの書」を持つ。

蛇足:名探偵ポアロの生みの親アガサ・クリスティーは、夫の考古学者マックス・マローワンとイラクで発掘中、アディの聖地を訪れている。

参考:羽仁礼『超常現象大事典』成甲書房
    2001.4.28シャルクルアウサト紙
    アガサ・クリスティー『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』早川書房

ムリーハー(Yamlikha)
 『アラビアン・ナイト』に登場するくちなわ(蛇)の女王の名。蛇の身体に人間の顔を持っており、水晶のように輝いている。らばのような形をした大蛇の背に乗せられた黄金の盆に乗って現れる。彼女の前ではあらゆる草が人語を話して自分の効能を述べるので、ソロモン王の遺体のある島に赴こうとするアッファーンとブルーキーヤーに捕らわれる。2人はその汁を足に塗ると海上を歩けるようになる草を見つけた後でヤムリーハーを解放する。くちなわの女王の話は、ヤムリーハーとブルーキーヤーの出会いから何百年も経った後、ハーシブ・カリームッディーンが樵たちによって地中の穴に閉じ込められ、ヤムリーハーと出会うところから始まる。ヤムリーハーは、ハーシブのために自分の命運が尽きることを知っており、彼にブルーキーヤーの物語などを語りながら2年間地中に引き止めるが、最後には、決して公衆浴場に行かないようハーシブに誓わせて地上に送り出す。しかしハーシブが約束を破ったため魔法使いシャムフールにより地上に呼び出され、首を切られて殺される。その肉は、カラズダーン王の病気を治す効果があり、その肉を煮るとき最初に生じた泡を飲むと身体が破裂して死ぬが、2番目に生じた泡を飲むと知恵者になれる。ヤムリーハーは死ぬ前に、最初の泡をシャムフールに飲ませ、2番目の泡を飲むようハーシブに言い残して復讐を果たした。知恵者となったハーシブは、王の病気を治し、大臣に取り立てられる。

蛇足:くちなわの女王の物語には、劇中でブルーキーヤーやジャーン・シャーの不思議な冒険譚が語られる。これらもなかなかに味わいのある作品である。

参考:前嶋信次訳『アラビアン・ナイト11』平凡社


ーヴェルマン(Dr.Bernard Heuvelmans)

 1916〜2001。ベルギーの動物学者で、未知動物学の命名者でもある。フランスのル・アーブルに生まれる。1939年、ブラッセルのフリー大学で動物学博士号取得後世界中を回り、アフリカの類人猿の肉食を他の動物学者に先駆けて指摘するなどの業績を挙げる一方で、ネアンデルタール人生存の可能性を指摘したり、未確認動物の研究を精力的に行う。未知動物学という名称は、ユーベルマンが著書『海の大蛇』で唱えたもので、1982年の国際未知動物学会設立以来その会長を務める。晩年はパリに住み、多くの学術団体に所属。オオウミヘビについて9種類を分類した。『海の大蛇』『未知の動物の探索』など多数の著書がある。

参考:Bernard Heuvelmans著『On the Track of Unknown Animals』(KPI)


霊(Ghost)

 死者の姿が目撃される現象で、心霊現象の中ではもっとも一般的なもの。古来その記録や体験談は数知れず、シェイクスピアの「ハムレット」やディケンズの「クリスマスキャロル」など有名な文学作品のなかでも多く取り上げられている。出現の形態は様々で、声や匂い、気配だけの場合もある。通常は死者のが生前の姿をとって現れるものと説明される。幽霊として出現するものも圧倒的に目撃者の近親者が多いが、動物の幽霊が目撃されたり、稀にはバスや家屋の幽霊、場所や道路の幽霊も目撃される。
 幽霊を見る、あるいは幽霊が現れるという現象は、心霊研究の面からは人間は肉体の死後もとして存在し続けることの証明として取り上げれることが多いが、イギリスの心霊研究家フレデリック・マイヤーズは、過去に生存した人間について何らかの記録が残り、それが目撃者により幽霊として感知されるものとした。またレスブリッジは、幽霊を目撃する人間が超感覚的に死者に対する情報を読みとるものと考えた。要は幽霊という現象の原因を死者の側に求めるか目撃者の側に求めるかということであるが、幽霊を霊の存在を前提とした現象と考えると、バスや場所の幽霊も含めた統一的な説明はできない。

参考:リン・ピクネット著『超常現象の事典』(青土社)
    コリン・ウィルソン編『超常現象の謎に挑む』(教育社)

男(Snow man)

 狭義にはヒマラヤのイエティを指すが、世界中で目撃される人間のような形の毛深い生物全体を総称する場合もある。イエティの他、北米のビッグフットあるいはサスクワッチ、アフリカのアゴグウェやキコンバ、マダガスカルのオンバス、シベリアのアルマスやチュチュナー、中国の野人や大脚怪など、同様の生物の目撃は世界中至るところで報告されており、日本でも1970年代に広島県でヒバゴンと呼ばれる同様の生物の報告があった。その正体については熊や猿類など既知の生物、ピグミーや隠者などの人間を誤認したとする説の他、インドのオオカミ少女の例のように何らかの原因で野生の状態で育った人間とする説、ギガントピテクスや直立原人などの化石人類の生き残りとする説、さらにはUFOや異星人と関連づける説もある。

参考:アンガス・ホール著『ネッシーと雪男』学研
    Bernard Heubelmans著『on the Trace of Unknown Animals』(KPI)

FO(Unidentified Flying Objectの略)

 未確認飛行物体のこと。プロジェクト・ブルーブック長官だったルッペルト大尉が用いたことから広まった。一般には空飛ぶ円盤、あるいは他の天体の知的生物の宇宙機と同視されて用いられることが多い。他方研究家の間でもその定義は必ずしも一致しているとは言いがたい。原書房の『UFO百科事典』等によればアメリカ空軍及びAPROは「観察者にとって正体不明の物体」をUFOとするが、この場合正体が鳥であれ気球であれ観察者本人が何かわからなければUFOとなる。コロラド大学UFOプロジェクトによる「目撃者が通常の自然的起源物と確認できず、警察や政府当局者やマスコミ等に目撃報告をしたいと考えるほど謎めいて見えたものに関する報告の誘因」としているが、これも同様の問題がある。一方アメリカの天文学者カール・セーガンは「その特性が即座には解明できない」空中・天体現象とし、J・アレン・ハイネックは「目撃者だけでなく、専門技術的に良識ある分析能力を有する人々により、入手可能なすべての詳細が厳密に検証された後もなお確認できないまま残る現象」としている。

参考:Ronald Story『the Encyclopedia of UFOs』(Doubleday Dolphin)
    カーティス・ピーブルズ著『人類はなぜUFOと遭遇するのか』(ダイヤモンド社)

ング(カール・グスタフ、Carl Gustav Jung)

 18750〜1961。スイスの心理学者で分析心理学の始祖。牧師の子に生まれる。バーゼル大学で医学を専攻し、チューリヒ大学で精神病理学を教える。1907年にフロイトと知り合うが、夢も夢の源としての無意識も全て性欲で解決しようとするフロイトと後に決別。集合的無意識層に解決を求める独自の理論を打ち立てる。1909年春、フロイト訪問中にラップ音の発生を予言した逸話あり。1934年よりはデューク大学の超心理学者ジョセフ・バンクス・ラインとも書簡による交流を行った他、易や錬金術UFOなどについても心理的側面からの考察を行った。シンクロニシティや集合的無意識などユング心理学独自の概念は、ニューエイジ運動にも取り入れられている。

参考:北川隆一郎著『精神世界のわかる事典』(日本実業出版社)
   ユング著『ユング自伝』(みすず書房)

アキム(フィオーレの、Joachim of Fiore,Gioacchino de Fiore)

 1135〜1202。イタリアの神秘思想家。カラブリア地方のチェリコに生まれる。みずからを農民の子とするが、公証人の子とも言われる。パレルモのウイルヘルム2世の官房に勤務した後エルサレムに赴き、タボール山で聖書についての啓示を受ける。サンブキナのシトー会修道院に入り、1177年、コラッツオの修道院長となる。1188年にペトララタに住まいを移し、晩年はフィオーレに修道院を開いた。全世界の歴史を父の時代、子の時代、聖霊の時代の3つに分け、父の時代は旧約の時代で、子の時代は42世代(1世代は30年)続くとして、1260年に終末が来ると予言した。著書に『新旧約一致の書『『黙示録釈義』等13点。他に彼に帰される偽書あり。

参考:荒俣宏編『世界神秘学事典』(平河出版社)
   『キリスト教人名事典』(日本基督教団出版局)


精(Fairy 、Elf)

 ヨーロッパで伝統的に信じられている霊的存在のこと。フェアリーは中世フランス語のfay、fee、あるいはペルシャのペリから派生したもので語源はラテン語のFatum(運命、宿命、死)である。エルフは古代ノルド語のalfrから派生し語源はラテン語のalbus(山)。他にスプライト、リトル・ピープル、トロールなど地方により様様な呼び名が伝えられている。その形態は一定せず、性質や住処も様様であるが一般的に汚水や塩、鉄、聖書、鶏の声、陽光を恐れるという。

参考:井村君江『妖精学入門』(講談社)
    リン・ピクネット著『超常現象の事典』(青土社)


ーガ(Yoga)

 瞑想や呼吸法、一定の身体操作により健康を保ち、物質から精神を解放しようとするインド起源の修行法。ヨーガは結びつけるという意味の語根yujから作られ、心を引き締めてある目撃に心を集中する意味。一般には正しい座法で姿勢を正し、呼吸を整え、感覚と意識を制して精神を統一・純化し、悟りの境地に進み、あるいは超自然力を得ようとする。その起源はインダス文明の時代にさかのぼると言われ、その修行法はインド・アーリア系宗教にも受け継がれた。古代のバラモン教や仏教ではヨーガを実習したが、特にヨーガの実修法については『ウパニシャッド』や『マハーバーラタ』、『バガバッド・ギーター』に説かれている。ヨーガの行者のことをヨギと言い、ヨギの中には生きながら埋葬されて地中で長時間過ごしたり、心臓を思いのままに止めたりなどの能力を示す者もいるという。


ヨセフ(Joseph)
 『旧約聖書』「創世記」で言及される人物の1人で、夢占いの名手。ヨセフという名は、「神が増やしてくださるように」の意味。ヤコブとラケルの11番目の子で父に特にかわいがられ、「裾の長い晴れ着」を与えられる。しかし、また、両親と他の兄弟たちが彼に膝まづくという夢を見たことから兄たちの怒りを買い、イシュマエル人に売られ、エジプトでファラオの侍従長ポティファルに買われる。ヨセフは家や財産の管理をまかされるが、姿が美しかったためポティファルの妻に言寄られ、それを断ったところぬれ衣を着せられて投獄される。そこでファラオの給仕役と料理役の夢を解いたことから、ファラオの夢を解くことになり、ファラオに重用されるようになる。ヨセフの予言通り飢饉が訪れるとヨセフの兄たちも食料を求めて10人がエジプトを訪れると、食料を分けてやり末子のベニヤミンも連れてくるように言う。11人が訪れると再度食料を分けてやり、自分の占い用の杯をベニヤミンの荷物に入れ、盗みの嫌疑で連れ戻した上で自分の正体を明かし、家族全員をエジプトに招く。死後遺体はカナンに運ばれた。ユダヤ教の文献「ヨセフとアセナト」ではファラオの王女アセナトがヨセフに恋をし、ユダヤ教に改宗して結婚する。「ヨセフの契約」「ヨセフの歴史」などでは神格化され、ヨセフの子孫は邪視から守られると言われる

参考:『聖書』日本聖書協会
    ジョン・ボウカー『聖書百科全書』三省堂


セフス(フラヴィウス、Flavius Josephus)

 37/8〜95頃。ローマ時代のユダヤ人歴史家。エルサレムの祭司の家系に生まれ、パリサイ派、サドカイ派、エッセネ派など当時のユダヤ教諸派を学び、また砂漠の行者バンヌスの弟子ともなったが、最終的にはパリサイ派に属した。64年頃ローマで外交官となるが、66年に発生したユダヤの反乱ではガリラヤ地方の司令官となる。しかしヨセフスの部隊はローマの将軍ヴェスパシアヌスに粉砕され、仲間たちは自決を主張したが、ヨセフスは最後の生き残りとなる。ヴェスパシアヌスに捕らえられたヨセフスは、ヴェスパシアヌスがローマ皇帝となることを予言して生き延び、この予言が現実のものとなった69年に彼は自由の身となる。以後はヴェスパシアヌスの息子ティトゥスに従い、その後ローマで市民権を得て『ユダヤ戦記』などの歴史書を残す。彼の『ユダヤ古代誌』には、イエス・キリストについての記述が2箇所に見られるというが、そのうちより詳しく述べる部分は後世に挿入されたと言われている。

個人的感想:将軍ヴェスパシアヌスがローマ皇帝となるという予言はものの見事に的中した。古今東西の数ある予言のなかでも、もっとも成功した予言の1つであろう。ヨセフスは夢に基づいてこの予言を行ったというが、当時のローマ帝国の状況や将軍の人となり、能力を冷静に分析した結果そのような結論を出したというのが通常の解釈である。しかし当時のローマは、一応初代皇帝アウグストゥスの血筋に連なるネロがまだ皇帝の座にあり、ヴェスパシアヌスのような一介の騎士の息子が皇帝になるということはあまり予想できない状況であった。あるいは、単に生き延びたいがために将軍に最大級をお世辞を述べ、それが結果的に現実となったということかもしれない。だが、ユダヤ諸学を極めたヨセフスのことであるから、何らかの秘法を用いたのでは、とも考えられる。

参考:Britannica(1968年版)